兎鳥庵日記

実験室出身のうさぎさんたちと暮らしています

2020年9月27日以前の記事については、リンク集「兎鳥庵日記(2020年9月27日以前)」よりご覧ください。

カテゴリ: ウサギの講習会

うさフェスタ2023から、第4部の講習会の内容をご紹介します。
講師はシンシア動物病院の成毛先生です。

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ここでは、EZ(エンセファリトゾーン)関係のお話のみ抜粋してご紹介します。


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斜頸とは、耳の奥、前庭に障害が起きたときに起こる症状です。



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眼振:
縦揺れ(上下に揺れる)、横揺れ(左右に揺れる)、回転(グルグル回る)の3種類。
縦揺れの眼振は中枢性の前庭障害でしか起きない。

旋回運動(グルグル回る):
中枢性の旋回運動は同じ方向にしか動けないので、進行方向に壁を作るとそこでぶつかって動けなくなる。
(興奮して回っている子は、逆方向に回り出す)



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特発性:中枢性でも末梢性でもない、原因不明。



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EZは、まだよく分かっていない病気。
従来、原虫に分類されてきたが、DNA解析によりカビ(真菌)ではないかということに。
まだハッキリとはしていない。
偏性細胞内寄生真菌である。

ウサギの日和見感染症
症状のない子たちを調べたときの抗体を調べたときの率。
日本では57.9%と、やや高い。
持っているか・いないかという話とは別で、抗体価というのは、この病気に接触したことがあるかどうかということ。
接触する機会の多い病気ということ。

感染経路は2とおり。
①糞尿を介しての感染(同居個体との水平感染)
②母ウサギからの胎盤を介しての感染(垂直感染)

胎盤を介して感染した場合の症状の1つが先天性の白内障。
白内障は、水平感染では起きない。

臨床症状は様々で、感染した臓器により、様々な傷害が引き起こされる

厄介なのは、環境中で4~6週間生存すること。
糞尿など、部屋の清掃が大事。



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斜頸の子が来たときに行う検査。
CTとMRIは持っている病院でしかできない。

今回は、赤文字の検査について説明。



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画像中央のグリグリした部分が肉芽腫、これがあれば、EZだったということになる。

生前は暫定診断:血液検査・外注検査を行う。
血液検査;EZの場合、腎臓など他の臓器への感染があるかもしれないので、その確認。
外注検査;EZ IgM抗体とIgG抗体を調べる。SAAは炎症がある場合に跳ね上がる。



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IgM抗体:感染して最初に作られる抗体
IgG抗体:後から作られる抗体

斜頸が起きるのは、感染してすぐではない。
感染して、炎症が起こり、そのダメージで斜頸が起こる。
IgGだけ上がったら、昔、感染したというだけかもしれない。
(結局、よく分からない)
この検査で確実に言えることは、斜頸が起きたとき、IgM抗体とIgG抗体が両方低ければEZではないということ。

論文でも、抗体価と臨床症状の重症度や脳内感染の有無との間に相関関係はないと報告されている。



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中枢性の前庭障害だった場合、確定診断はできない。
これをどう考えるか

先生の個人的見解:
完治することを目標とするのではなく、日常生活を送れるようになることをゴールにするのがよい。



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なぜカビにフェンベンダゾール(駆虫薬)が効くのか、よく分かっていない。
治療の目的は、EZの感染・増殖の抑制と肉芽腫性の炎症を抑えることの2つ。



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EZは感染すると細胞の中に入って、


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増殖し、細胞を壊して次の細胞へ移る。


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細胞が壊れることによって、肉芽腫性の炎症が起こる。
なので、治療はEZの増殖の抑制と肉芽腫性の炎症を抑えることの2つになる。

ただ、薬が効くのは、細胞外のブルーのエリアのみ。
細胞内には効かない。
投薬期間が28日間、というのは論文での投薬期間が4週間だったというだけの話。
そのため、「治ったけど、またなった」ということが起こる。



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脳幹にはバリアがあって、薬が到達しないことがある。
到達して、かつ強く抑える薬がステロイド。
ステロイドについては、論文では賛否両論で、よく分かっていない。
使わない方が良いのではとする論文もある。
というのも、ステロイドは免疫抑制剤、免疫を抑制することで炎症を抑える薬なので、免疫を抑える副作用に対しどれほどの効果があるのか?というはなし。

しかし、先生はステロイドを使う方針。
なぜなら、炎症が自然になくなるとは思えないので。
4週間を超えない範囲で使っている。
この辺は先生によって見解が違うと思われるのでご注意ください)



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抗菌薬:感染症予防のため
制吐剤:ステロイドを使うため
抗眩暈薬:眼振が起こるため
鎮静薬:ローリングで日常生活が送れない場合(使ったことはない)
食べられないときは、強制給餌



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ここからは、ウチの子(ダッチ)たちに対する考察です。

現在、里親募集中のくりちゃんには、先天性の白内障があります。
健診の時に「EZを持っている」と言われています。
たまたまこの所見があるのはくりちゃんだけですが、実験のウサギさんって、同一コロニー内での繁殖を繰り返しているから、他の子たちも皆、EZありと思った方が良さそう。

経験上も、若い頃は何もなかった子たちも、ほぼ全員、高齢になったときに何らか神経症状が出てEZの治療をしています。
ですが、亡くなった子はすべて病理組織学検査をしているものの、EZを捉えたことはまだありません。

EZが直接の死因ではないので、そうなのかもしれませんけど。
ただ言えるのは、EZはさほど恐れる必要はなく、発症したときに速やかに治療することで改善するということ。

EZが世に知られるようになったときは、劇症型が多く非常にショッキングでしたが、今や実験のウサギさんですら、すでにEZに折り合いを付けていることに改めて驚きを感じます。

現在、里親募集中の女の子たちは、健診でいくつか所見が出て縁遠くなってしまった感もあるのですが、恐れることはないとお伝えしたいのです。
逆に分かっている情報が多いことで、初動が早くできるというメリットもあるかと思います。

すべてのうさぎさんに言えることは、「ちょっとヘン」と思ったら、すぐ病院へ、ということですね。
目つきがおかしい、首が流れる、ちょっとの変化に気付いてあげることが大事なんだと思います。

EZについては、未だ分からないことだらけだそうですが、うさ飼いとしては、是非とも解明してほしいと思います。


先週末に行われた、webうさの講習会のお話。

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骨折してしまったときの治療法として、状態によって様々な選択肢があり、
プラスうさぎさんの性格等を考慮してどの方法にするかを決めるというのですが、、、

ネックになるのは、飼い主さんのお財布事情だったりするといいます。
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それなりに高額になるんだろうとは思っていましたが、こうやって出されると、びっくらこいちゃいます。
どんだけ簡単で安い方法でも、軽く60万超え
状態が悪ければ、210万+アルファ。
何段階かに分けて処置するとなると、+アルファ部分も跳ね上がるでしょうし

それでもって、ちゃんと期待通りに骨が癒合して成功する率はそんなに高くないとか。
下手すれば、骨がさらにバラバラになってしまって、何もしない方がなんぼかマシだった状態に陥ってしまうそうで


実は、ウチのあかりさんのことで、やっぱり手術してやれば良かったのかな~
って思うところもあり。
あかりさんがとった方法は、1枚目の図でいえば、左端のケージレスト。
講師の成毛先生がおっしゃるには、ケージレストのみでうまく治るのは、まれだそうで

でも、その後のお話を聞いて、やっぱり、あかりさんには手術はムリだったって大いに納得したのでありました。あれだけ狭いキャリーに閉じ込めておいても、ぜんぜん安静になんてしてくれない子だったし。
ゴハンもらえるのが嬉しくて、飛び上がってキャリーを破壊してしまうくらいのパワーの持ち主ですし。

きち先生が手術しないとおっしゃった理由が、改めてよーく分かったのでありました。
結局、骨はちゃんとくっつかなかったけど(偽関節を作ってしまった)、不自由ながらも毎日ナッツと鬼ごっこして遊べているし。
今の状態が、あかりさんのベストなんですね。


里親さまには、いつもお渡しの時に、
「うさぎは着地点が見えなくても、向こう側が見えれば衝動的に飛んでしまうので、生半可なサークルやフェンスで囲ったりしないように」
とお話ししていますが、成毛先生も
「うさぎは視力が悪いので、着地点が見えなくても飛ぶ」
とおっしゃっていました。

注意すれば防げる部分もありましょうが、予期しない動きをするのがうさぎさん。
でもって、壊れやすい軽量骨格ときています。
不幸にして骨折してしまったとしても、その後をどうすればうさぎさんが快適に過ごせるのかを考えればいいのかな
って思いました。


今までも何回か、うさフェスの講習会で骨折治療のお話がありました。
講習会のテーマは、うさぎのしっぽさんが決めて、先生に依頼されるそうなんですが、
ってことは、それだけ骨折事故が多いってことなのかな
とも思います。

でも、こういったお話を聞いて、自分のうさぎに最先端の治療を受けさせてあげられなかったことに負い目を感じる飼い主さんも多いのではないでしょうか。
情報収集は大事ですが、それで飼い主さんが悲しい思いをするのも違う気がします。
こうやって、何回も同じテーマのお話を違う先生から聞くことで、飼い主さん自身が判断できるようになっていくんだなってことも、印象深かったです。
 

webうさ、始まりましたね 


せっかくなので、うさフェスBOXに入っていたこれを組み立てました。
大急ぎで作ったので、かな~り雑な仕上がりですが、なんとかサマになりました。
思いつきで、ななぶーとナッツ、あかりちゃんも貼り付けました。
(過去の没名刺の流用です
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みんなで記念撮影をしました。
これは、ぽんちゃん

白クマペコ氏は論外としても、ウチの子たちには小さいですね


無料講習会も良いお話でした。
各種飼育本でもおなじみの動物ライター、大野瑞絵氏によるウサギの食に関する講習会。
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普段忙しくしていて、お野菜もシャキシャキの状態ではなかなかあげられなくって、
申し訳ないな~
なんて思っていましたが、わざとしんなりさせてからあげるのもいいそう。
水分の取り過ぎも防げるし、よりたくさんの種類をあげられるからと。

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万が一に備えつつ、楽しい食事をというお話^^


こちらは、町田社長による恒例の純血種講習会。
これまた、良いお話でした
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うさぎのいろいろなNo.1のお話で、一番小さい品種はネザーちゃんではなくって、
ブリタニアペティーテといううさぎさんなんですって。
相当やんちゃな性格らしく、お話を聞いていて、あかりちゃんみたいな子なのかな
って思っちゃいました。
そんな子なら、ちっちゃくってもほしいぞ

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ダッチさんも登場
模様がなんて言われたら、ウチの子たちは全員失格ですけどね

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うさぎさんを走らせての審査の様子。
大きいうさぎさん、いいな~

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来年、登録予定だという、うさぎさん
いいな~、可愛いな~
って、なんか白黒にばっかり目が行っているワタクシでありました (^◇^;)

無料講習会は明日も同じメニューで、午前・午後の2回行われますので、
まだ見ていない方は是非

抱っこ講習会とグルーミング講習会もお勧めです。
(抱っこできる方もグルーミングできるという方にも!)

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最後に、ふくちゃま&むう氏 

来年、春はまだ無理だとしても、秋には通常開催を期待したいところです。
でも、今回、webで遠方の方には特に良い取り組みだったでしょうし、このスタイルも取り入れてやっていただけるといいですね 

あ、そうそう、しっぽさんのテレビショッピングならぬwebショッピングもなかなか楽しかったですよ。
自動給餌器とかクリアケージなど、高額商品が対象でしたけど、かなり値引きしてくださっているので、狙っていた方には朗報かな?と思いました。

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